
この記事は、アパレル歴20年の店長経験者が詳しく解説しています。【筆者プロフィール】
ブラウス、ワイドパンツ、スカートなどに使われる「とろみ・落ち感」が魅力のレーヨン。
ふわっと揺れて上品に見えるので、きれいめ服の定番素材として人気ですよね。
ただその一方で、レーヨンは“見た目の美しさ”と引き換えに、ケアで失敗しやすいデリケートさを持っています。
しかも厄介なのが、レーヨンの弱点は「買う前の選び方」と、「洗濯・干し方のちょっとした工夫」でかなり回避できること。
逆に、ここを知らないまま着ると「毎回ダメにする…」が起きやすい素材です。
そこで今回はアパレル歴20年の元店長として、レーヨンの弱点と、正しい扱い方をわかりやすく解説します。
- レーヨン素材の「弱点(縮み・シワ・水に弱い等)」の全体像
- 弱点①〜⑤それぞれの“起こりやすいトラブル”と理由
- 洗濯で失敗しないための最重要ポイント(やってはいけないこと)
- レーヨンでも比較的扱いやすくする選び方(混紡率の見方)
- レーヨンを長持ちさせる正しい保管・ケア方法
レーヨン素材の特徴まとめ【一覧表】
いきなり弱点から入ると混乱しやすいので、まずはレーヨンがどんな性質の素材かを一覧で整理します。
ここを押さえておくと、このあと解説する「縮み・シワ・水に弱い」がなぜ起きるのかスッと理解できます。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 艶感 | 上品で落ち感がある |
| 通気性 | 良い(天然由来) |
| 吸水性 | とても高い |
| 弱点 | シワ・縮み・水に弱い |
| 強度 | 濡れると極端に弱くなる |
| 肌触り | さらさら・とろみ感 |
レーヨンの弱点(デメリット)一覧表
特徴をざっくりと理解したところで、次は「レーヨンの弱点」を5つに分けて詳しく解説します。
上の表と重複する箇所もありますが、先に全体像を表で確認しておくと、自分が気をつけるべきポイントがすぐ分かります。
| 弱点 | 起こりやすいトラブル | 最優先で気をつけること |
|---|---|---|
| ① 縮みやすい | 洗濯で丈・幅が縮む/風合いが変わる | 水洗い可否を確認(基本は手洗い or クリーニング) |
| ② シワになりやすい | 座りジワ・折りジワが固定されやすい | 畳まずハンガー保管+スチームで整える |
| ③ 濡れると強度が落ちる | 洗濯中に破れやすい/濡れた状態で伸びる | 濡れている時は引っ張らない+ネット必須 |
| ④ 重くて伸びやすい | 吊り干しで丈が伸びる/形が崩れる | 長時間吊らない(可能なら平干し) |
| ⑤ 汗で変色・輪ジミ | 脇・背中などに輪ジミが残る | 汗対策(インナー・脇汗パッド)+放置しない |
このあと、弱点①〜⑤の順に「なぜ起きるのか」と「対策」を具体的に解説します。
レーヨンの弱点①:とにかく“縮みやすい”
▶ 水に触れると縮む(フェルト化に近い現象)
レーヨンは水を含むと、
繊維同士が詰まり、風合いが変化しやすい素材。
洗濯で数センチ単位で縮むこともある。
対策
- 洗濯表示を必ず確認
- 基本は「手洗い or クリーニング」
- 脱水は短時間
- 乾燥機NG(確実に縮む)
「コースを弱くする/脱水を短くする」だけでも、生地ダメージはかなり減らせるので、設定を一度見直すのがおすすめです。
また、レーヨンはデリケート素材なので、基本は“おしゃれ着洗剤”で優しく洗うのが前提になります。
さらに、レーヨンは“濡れた状態の重み”で形が変わりやすいので、洗濯だけでなく「干し方・保管」までセットで整えると長持ちします。
レーヨンの弱点②:シワになりやすい
レーヨンは吸水力が高いため、
ちょっと湿気を含むだけで“シワが固定されやすい”。
特に…
- スカート
- ワイドパンツ
- とろみブラウス
は折りたたむとシワが目立つ。
対策
- できるだけ吊り干し
- スチームアイロンで整える
- 収納は畳まずハンガー推奨
レーヨンはアイロンやスチームの当て方で仕上がりが変わるので、“最短で戻す手順”だけ別記事で確認しておくと安心です。
レーヨンの弱点③:濡れると強度が大きく落ちる
乾いている時は強度があるが、
濡れた瞬間 “弱くなる素材No.1” と言ってもいい。
- 洗濯中に破れやすい
- 濡れた状態で引っ張ると生地が伸びる
- 摩擦に弱くなる
対策
- 濡れている時は絶対に引っ張らない
- 洗濯ネット必須
- ドライクリーニングが最も安全
レーヨンの弱点④:生地が重く、伸びやすい
落ち感のある生地=“重みがある”ため、
吊った状態で伸びてしまうことがある。
特に…
- ワンピース
- ロングスカート
- ワイドパンツ
これらは重みで丈が伸びやすい。
対策
- ハンガーより平干し(可能なら)
- 長時間の吊り下げを避ける
- 裾が伸びてきたらスチームで戻す
レーヨンの弱点⑤:汗で変色・輪ジミが出る場合がある
吸水性が高いゆえに、
汗が集中すると“汗染み・輪ジミ”が起こりやすい。
対策
- 脇汗パッドを使う
- 夏はインナーを着る
- 洗濯はこまめに(放置NG)
汗や皮脂が絡む汚れは「種類ごとに落とし方が違う」ので、ここを知っておくと“洗っても落ちない”を回避できます。
特に脇・首まわりの黄ばみは蓄積で濃くなるので、早めのケア手順もセットでどうぞ。
レーヨン素材のメリット(良い点もある)
レーヨンは弱点ばかり目立ちますが、正しく扱えば「見た目の上品さ」と「着心地」の両方が手に入る素材です。
まずはメリットを一覧で整理します。
レーヨンのメリット一覧表
| メリット | 具体的にどう良い? | 向いているアイテム例 |
|---|---|---|
| とろみ・落ち感がきれい | ドレープが出て体のラインが強調されにくい | ブラウス/ワイドパンツ/スカート |
| 艶が上品で高見え | 光沢がギラつきにくく、きれいめに見える | とろみシャツ/ワンピース |
| 肌触りがさらっと滑らか | チクチクしにくく、肌当たりが良い | インナーに触れるトップス全般 |
| 通気性・吸湿性が高め | 蒸れにくく、春夏も比較的快適 | 半袖ブラウス/薄手パンツ |
| 化繊っぽく見えにくい | “安っぽさ”が出にくく自然な質感 | きれいめ服/オフィス服 |
ただし、メリットが活きるのは「扱い方込み」です。
レーヨンは濡れると弱い=洗濯で一気に崩れることがあるので、次の弱点パートで「やらない方がいいこと」もセットで確認してください。
結論、レーヨンは“弱点に気さえつければ最高の素材”です。
レーヨンを選ぶときのポイント
レーヨンは「買った時点で勝負がほぼ決まる」素材です。
ここでは、購入前にチェックすべきポイントを先に表でまとめます。
迷ったら、まずこの表どおりに確認してください。
レーヨンの選び方チェック表
| チェック項目 | 理由 | 見る場所(目安) |
|---|---|---|
| 混紡率(レーヨン何%?) | 100%は風合い◎だが縮み・シワ・強度面で不利 | タグ「組成表示」 |
| 洗濯表示(水洗い可否) | 水洗い不可が多く、家庭洗いの難易度が変わる | 洗濯表示タグ |
| 生地の厚み・織り | 薄すぎるとシワ固定、重すぎると伸びやすい | 店頭で触る/商品説明 |
| 仕立て(縫製・裏地) | レーヨンは型崩れしやすく、縫製差が出やすい | 縫い目/裾/裏地有無 |
| 色(汗ジミが目立つ?) | 中間色・くすみ色は輪ジミが出ると目立つことも | 脇/背中の想定 |
ではここから、表の内容をもう少し具体的に掘り下げます。
1. 混紡率を見る
レーヨンは混ぜる相手素材で扱いやすさがかなり変わります。
「風合い重視ならレーヨン高め」「日常使いなら混紡」くらいの感覚でOKです。
- レーヨン100% → 風合い◎だが弱い
- レーヨン×ポリエステル → 扱いやすい
- レーヨン×ナイロン → 強度UP
混紡のメリットを理解するには、相手素材(綿・ポリエステル)の性質を知っておくと比較しやすいです。
2. 洗濯表示を必ず見る
レーヨンは「水洗い不可」も珍しくありません。
“家で洗える前提で買う”のか、“クリーニング前提で買う”のかで満足度が変わります。
迷ったら、少なくとも「手洗い可」かどうかは購入前にチェックしておくのがおすすめです。
3. 生地の厚み・織りをチェック(薄すぎ注意)
レーヨンは落ち感が出やすい反面、薄手すぎるとシワが目立ちやすく、洗濯でヨレやすい傾向があります。
特に“テロン”とした超薄手は、見た目はきれいに見えても、日常使いでは扱いが難しいことが多いです。
- オフィスや普段使いなら:やや密度があり、透けにくい生地が安心
- 夏の軽さ重視なら:薄手でもOK(ただしシワ・引っかけ対策は必須)
✅店頭チェックのコツ
生地を軽くつまんで、シワがくっきり残るか確認。残りやすいほど、取り扱いは慎重に。
4. 形が崩れやすいので仕立ての良さが大事
レーヨンは落ち感が出る分、縫製が弱いと引っ張られて歪みやすいです。
店頭なら「脇・肩・裾の縫い目が波打っていないか」「裏地が付いているか」を見るだけでも、失敗が減ります。
縫製の粗いレーヨン服は型崩れが早いので、“価格差=仕立て差”が出やすい素材だと覚えておくと安心です。
5. 色は「汗ジミの目立ちやすさ」で選ぶ
レーヨンは汗や雨で輪ジミ(境目の跡)が出やすいことがあります。
特に目立ちやすいのは、脇・背中・胸元など汗がつきやすい場所。
- 注意カラー:グレー、ベージュ、カーキ、くすみ系(中間色)
- 比較的ラク:黒、ネイビー、柄物(境目が見えにくい)
汗ジミが心配な人は、トップスよりもボトム(ワイドパンツ・スカート)の方が取り入れやすいです。
まとめ:レーヨンは“扱い方がすべて”のデリケート素材
レーヨンは、見た目の上品さ・とろみ・肌触りの良さが魅力の一方で、扱い方を間違えると一気に劣化しやすいデリケート素材です。
元アパレル店長の現場感で言うと、レーヨンで失敗する人の多くは「素材が悪い」のではなく、“いつもの洗濯ルーティン”をそのまま当ててしまうのが原因でした。
あらためて弱点を整理すると、レーヨンは主にこの5つが起きやすいです。
- 縮む(特に水洗い・脱水・乾燥機が強烈)
- シワが固定されやすい(湿気・折りたたみで目立つ)
- 濡れると強度が落ちる(洗濯中の摩擦で傷みやすい)
- 重みで伸びやすい(吊り干しで丈伸び・型崩れ)
- 汗で変色・輪ジミが出ることがある(放置で悪化)
ただ、裏を返せば対策はシンプルで、ポイントは次の4つに集約できます。
- 洗濯表示を最優先(水洗い不可なら無理しない)
- 洗うならネット+弱水流+脱水短め(濡れた状態で引っ張らない)
- 干し方は平干し中心(重みで伸びるのを防ぐ)
- 買う段階で混紡も選択肢に入れる(扱いやすさが段違い)
レーヨンは「丁寧に扱うほど、きれいが続く」素材です。
逆に言えば、雑に扱うと“すぐくたびれる”ので、素材に合わせてルールだけ変えるのがコツ。
これだけで、レーヨン服の寿命はかなり伸びます。
最後に、同じ“再生繊維の仲間”でも性質が少し違うので、近い素材(モダール)も知っておくと買い物の失敗が減ります。












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