「毛玉とピリングって別物なの?」
「タグに“ピリング注意”と書いてあるけど何が違うの?」
「どちらも同じに見えるけど対処方法は違う?」
実は、
ピリング=毛玉ができる“現象”の名前
毛玉=できてしまった“球状の繊維”そのもの
という、明確な違いがあります。
アパレル歴20年の元店長が、
わかりやすく丁寧に解説します。
ピリングと毛玉の違いを徹底解説【元アパレル店長が専門的に解説】
ピリングと毛玉の違い(最も簡単にまとめると)
| 用語 | 意味 | 例えるなら |
|---|---|---|
| ピリング(Pilling) | 摩擦で繊維が絡まり“毛玉ができる現象” | 雪が転がって固まる工程 |
| 毛玉(Pill) | 実際にできた“小さな丸い玉” | 転がって固まった“雪の玉” |
つまり
ピリング(現象) → 毛玉(結果)
の順に起きます。
ピリング(pilling)とは?
1. “繊維同士が擦れて絡まる現象”
次の条件でピリングが起こりやすくなります。
- 摩擦が多い(カバン、机、腕の動き)
- 柔らかい繊維を使っている
- 長い繊維と短い繊維が混在している
- 洗濯時の回転や脱水
2. 起こりやすい素材
ピリングの発生しやすさは素材によって大きく違います。
✅強い(起こりやすい)
- アクリル
- ウール
- コットン
- ポリエステル(起毛系)
✅弱い(起こりにくい)
- ナイロン
- 伸縮性の少ない織物
- 目が詰まった生地
3. どこに起こりやすい?
- 脇
- 袖
- 裾まわり
- バッグが当たる部分
動き+摩擦の場所=毛玉の温床。
毛玉(pill)とは?
1. “絡まった繊維が丸く固まった状態”
ピリング現象が進んだ結果、
繊維が球状になったものが毛玉です。
2. 毛玉ができると何が起こる?
- 古く見える
- くすんだ印象になる
- 表面が荒れてチクチクする
見た目の劣化が大きいのが特徴。
ピリングと毛玉:発生の流れ
【発生プロセス】
- 摩擦が起きる
- 表面の繊維が浮く
- 繊維同士が絡む(=ピリング)
- それが固まる(=毛玉)
ピリングを防ぐ方法(毛玉を作らないために)
1. 摩擦を減らす
- バッグの位置を変える
- 椅子の肘に擦らない
- 裾がよく当たる部分に注意
2. 洗濯時は“ネット必須”
摩擦を大幅に減らせます。
- 裏返す
- ネットに入れる
- やさしく洗う
3. 毛羽立ちの少ない素材を選ぶ
✅毛玉ができにくい素材の特徴
- 目が詰まっている
- ナイロン混で強度が高い
- ハイゲージ編み
4. 柔軟剤で繊維を滑らかに
柔軟剤は摩擦軽減に大きく効果があります。
5. ぴったりしすぎないサイズを選ぶ
体に密着するほど擦れやすい。
できた毛玉の正しい取り方
1. 毛玉取り器
最も安全で早い方法。
✅ポイント
- 強く押し付けない
- 表面を軽く滑らせる
- ニットに最適
2. 洋服ブラシで優しく落とす
表面の浮いた繊維を整えることで毛玉が増えるのを防ぐ。
3. ハサミで1つずつ取る(デリケート素材向け)
カシミヤ・ウールなどの高級素材は
引き抜くのはNG。切り取るのが最適。
まとめ:ピリング(現象)→毛玉(結果)と理解すれば対策が簡単
✅ピリング
= 摩擦で繊維が絡まる“現象”
✅毛玉
= 実際に固まった“球状の繊維”
✅原因
- 摩擦
- 素材の特性
- 洗濯方法
✅対策
- 洗濯ネット
- 柔軟剤
- 摩擦を減らす着方
- 素材選び
正しい知識があれば、毛玉は“確実に減らせる”ケア領域です。



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