
この記事は、アパレル歴20年の店長経験者が詳しく解説しています。【筆者プロフィール】
- 「毛玉とピリングって別物なの?」
- 「タグに“ピリング注意”と書いてあるけど何が違うの?」
- 「どちらも同じに見えるけど対処方法は違う?」
実は、「ピリング=毛玉ができる“現象”の名前」「毛玉=できてしまった“球状の繊維”そのもの」という、明確な違いがあります。
この違いを知らないままだと、対策がズレやすいんです。
例えば「毛玉ができたから毛玉取り器で取った」のに、数日後また同じ場所に出てくる…という場合、原因は“毛玉”ではなく、摩擦や洗濯で繊維が浮いて絡む「ピリング」が止まっていないケースがほとんど。
逆にいえば、ピリングの段階で手を打てば、毛玉はかなりの確率で減らせます。
そこで本記事では、アパレル歴20年の筆者が「ピリングと毛玉の違い」と「防ぐ方法(毛玉対策)」をわかりやすく丁寧に解説します。
- 「ピリング」と「毛玉」の明確な違い(現象と結果)
- ピリングが起きやすい条件(摩擦・素材・洗濯など)
- 毛玉ができやすい素材/できにくい素材の目安
- 毛玉を作らないための予防(着方・洗濯・サイズ選び)
- できてしまった毛玉の正しい取り方(道具別の安全な方法)
また、本文に進む前に毛玉の“原因別まとめ”も先に見ておくと、自分の服がどのパターンか判断しやすいです。
尚、「忙しい方」や「ポイントだけを知りたい方」は、下の【目次】から本文内の各項目へ簡単に進めるので、タップしてみてください。
ピリングと毛玉の違い(最も簡単にまとめると)

| 用語 | 意味 | 例えるなら |
|---|---|---|
| ピリング(Pilling) | 摩擦で繊維が絡まり“毛玉ができる現象” | 雪が転がって固まる工程 |
| 毛玉(Pill) | 実際にできた“小さな丸い玉” | 転がって固まった“雪の玉” |
つまり「ピリング(現象) → 毛玉(結果)」の順に起きます。
ピリング(pilling)とは?
1. “繊維同士が擦れて絡まる現象”
次の条件でピリングが起こりやすくなります。
- 摩擦が多い(カバン、机、腕の動き)
- 柔らかい繊維を使っている
- 長い繊維と短い繊維が混在している
- 洗濯時の回転や脱水
この4つの「ピリングが起こる条件」を下の早見表にまとめたので、自分の服がどれに当てはまるかチェックしてみてください。
| ピリングが起こる条件 | よくあるシーン(例) |
|---|---|
| 摩擦が多い | バッグの肩紐/脇・袖/机に腕を置く/裾が擦れる |
| 柔らかい繊維を使っている | ふわっとしたニット/起毛感のある素材 |
| 長い繊維と短い繊維が混在している | 混紡ニット(ウール×化繊など)で毛羽が浮きやすい |
| 洗濯時の回転や脱水 | ネット無し/詰め込み洗い/脱水長め |
このあと「起こりやすい素材」「起こりやすい場所」を詳しく解説していきます。
2. 起こりやすい素材
ピリングの発生しやすさは素材によって大きく違います。
✅強い(起こりやすい)
- アクリル
- ウール
- コットン
- ポリエステル(起毛系)
✅弱い(起こりにくい)
- ナイロン
- 伸縮性の少ない織物
- 目が詰まった生地
素材ごとの“毛玉の出方”やNGケアは違うので、よく着る素材だけでも特徴を押さえると失敗が減ります。
3. どこに起こりやすい?
- 脇
- 袖
- 裾まわり
- バッグが当たる部分
動き+摩擦の場所=毛玉の温床。
コート・アウターはバッグ摩擦が増えやすく、毛玉が“目立つ場所”に集中しがちです。コート特化の予防はこちら。
毛玉(pill)とは?
1. “絡まった繊維が丸く固まった状態”
ピリング現象が進んだ結果、繊維が球状になったものが毛玉です。
2. 毛玉ができると何が起こる?
- 古く見える
- くすんだ印象になる
- 表面が荒れてチクチクする
見た目の劣化が大きいのが特徴。
毛玉とセットで“黒い服のホコリ”も気になりやすいので、見た目を一気に整えたい方は下もどうぞ。
ピリングと毛玉:発生の流れ
毛玉は“突然できる”ように見えますが、実際は「段階」を踏んで育ちます。
この流れを知っておくと、「今どの段階か?」が判断できて、対策が一気にラクになります。
ポイントは、毛玉になってから取るよりも、毛玉になる直前(=ピリング)で止める方が圧倒的に簡単だということ。
特に「脇・袖・バッグが当たる場所」は、摩擦が集中して進行が早いので要注意です。
発生プロセス(流れ)
- 摩擦が起きる(歩く・腕を動かす・バッグが当たる)
- 表面の繊維が浮く(毛羽立ちが増える)
- 繊維同士が絡む(=ピリング:まだ“球”ではない)
- 絡みが固まって丸くなる(=毛玉:ここまで来ると見た目が一気に劣化)
- さらに摩擦で大きくなる/周りの繊維も巻き込む(放置ほど悪化)
「3」の段階で対策できると、毛玉取りの回数自体が減ります。
次は、その“止め方(予防)”を効果が出やすい順に整理していきます。
ピリングを防ぐ方法(毛玉を作らないために)
毛玉対策は、全部やる必要はありません。まずは「効きやすい順」に試すのが最短です。
| 優先 | 防ぐ方法 | 何に効く? | 向いてる服・場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ★★★ | 摩擦を減らす | ピリングの発生そのものを減らす | 脇・袖・バッグが当たる服/アウター | 同じ場所に毎回できる人ほど最優先 |
| ★★★ | 洗濯ネット(+裏返し) | 洗濯中の摩擦・絡まり・毛羽立ちを抑える | ニット・スウェット・カットソー全般 | ネットが大きすぎると中で暴れて逆効果 |
| ★★☆ | 毛羽立ちの少ない素材を選ぶ | そもそも絡む繊維が出にくい | よく着る定番服(黒ニット・パンツ等) | 起毛・甘い編みは毛羽が出やすい |
| ★★☆ | 柔軟剤(適量) | 繊維を滑らかにして摩擦を減らす | 乾燥季節/静電気が強い人 | 使いすぎはベタつき・吸水低下などの原因 |
| ★☆☆ | ぴったりしすぎないサイズ | 擦れる回数を減らす | 脇・内もも・袖が擦れやすい服 | 「一部だけ毛玉」タイプに効きやすい |
ここからは、表の内容を1つずつ「失敗しないコツ付き」で詳しく解説します。
1. 摩擦を減らす
- バッグの位置を変える
- 椅子の肘に擦らない
- 裾がよく当たる部分に注意
摩擦の考え方は“服が重く感じる(肩が疲れる)悩み”とも共通です。着疲れしやすい方は以下の記事も合わせてどうぞ。
2. 洗濯時は“ネット必須”
摩擦を大幅に減らせます。
- 裏返す
- ネットに入れる
- やさしく洗う
洗濯ダメージが出ていると、毛羽立ち→毛玉が加速します。表面がモヤっとしてきた人は下の記事が近いです。
3. 毛羽立ちの少ない素材を選ぶ
✅毛玉ができにくい素材の特徴
- 目が詰まっている
- ナイロン混で強度が高い
- ハイゲージ編み
4. 柔軟剤で繊維を滑らかに
柔軟剤は摩擦軽減に大きく効果があります。
ただし柔軟剤は“適量”が大前提で、使いすぎると逆効果になるケースもあります。
心当たりがあればこちらも確認を。
5. ぴったりしすぎないサイズを選ぶ
体に密着するほど擦れ回数が増え、ピリングが進みます。
特に「脇」「袖の内側」「内もも」「バッグが当たる肩」は、少しのサイズ差で毛玉の出方が変わります。
✅チェックの目安
- 脇がつっぱる/腕を動かすと生地が引っ張られる
- 同じ位置にだけ毛玉が集中する
- バッグを持つ側だけ毛玉がひどい
✅改善のコツ
- トップスは“ピタ→程よくゆとり”にするだけでも効果あり
- インナーを滑りの良い素材にして摩擦を減らす(重ね着の擦れ対策)
できた毛玉の正しい取り方
毛玉取りは、素材に合う道具を選ぶだけで失敗が激減します。
迷ったら下の早見表から選んでください。
| 道具 | 向いている素材 | メリット | 注意点(失敗ポイント) |
|---|---|---|---|
| 毛玉取り器 | アクリル・ポリエステル混/普段ニット | 早い・仕上がりが安定 | 強く押すと生地を削りやすい(軽く滑らせる) |
| 洋服ブラシ | 軽い毛玉/毛羽立ち段階の服 | 表面を整えて“悪化防止”にもなる | 強くこすると毛羽が増える(毛流れに沿って) |
| ハサミ | カシミヤ・ウールなどデリケート素材 | 生地を引っ張らず安全 | 引き抜きはNG。根元ギリギリを切る |
次から、道具別に「やり方」と「やってはいけないNG」を短くまとめます。
1. 毛玉取り器
最も安全で早い方法。
✅ポイント
- 強く押し付けない
- 表面を軽く滑らせる
- ニットに最適
2. 洋服ブラシで優しく落とす
表面の浮いた繊維を整えることで毛玉が増えるのを防ぐ。
3. ハサミで1つずつ取る(デリケート素材向け)
カシミヤ・ウールなどの高級素材は
引き抜くのはNG。切り取るのが最適。
高級ニットは“伸び”も起こりやすいので、型崩れまで気になる方は戻し方もセットでどうぞ。
まとめ:ピリング(現象)→毛玉(結果)と理解すれば対策が簡単
- ピリング=毛玉ができる“現象”
- 毛玉=できてしまった“結果(球状の繊維)”
この順番で理解すると、対策が一気にシンプルになります。
毛玉で悩む人がやりがちなのが、「毛玉ができた → 取る → またできる」を繰り返すこと。
この場合、原因は“毛玉”ではなく、手前の「ピリング(絡まり)」が止まっていない状態です。
今日からの最短ルート(迷ったらこれ)
- 同じ場所に毎回できる → 摩擦を減らす(バッグ・脇・袖の擦れ対策が最優先)
- 洗濯後に増える → 裏返し+ネット(これだけで体感が変わる)
- ニットが毛玉だらけ → 毛羽立ちを増やさない洗濯&ブラッシング
- 静電気が強い → 柔軟剤は“適量”+乾燥しすぎ注意
- 体に密着して擦れる → サイズを1つ見直す(脇・内もも・袖が改善しやすい)
そして、できた毛玉は「素材に合う道具」を選べば安全に取れます。
迷ったら、普段ニットは毛玉取り器、デリケート素材はハサミ、軽い段階はブラシ…という選び方が失敗しにくいです。
正しい知識があれば、毛玉は“確実に減らせる”ケア領域。
まずは「洗濯ネット+裏返し」から始めて、毛玉取りの回数そのものを減らしていきましょう。












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