
この記事は、アパレル歴20年の店長経験者が詳しく解説しています。【筆者プロフィール】
「テンセルってシルクみたいで綺麗だけど扱いが難しい?」
「とろみ素材が好きだけど、洗濯後に縮まないか不安…」
「レーヨンと何が違うの?」
こういった疑問は、店頭でも非常に多く寄せられる悩みです。
テンセル(リヨセル)は“再生繊維”と呼ばれ、木材パルプから作られるエコ素材。シルクのようなツヤ・落ち感があり、肌ざわりが非常に柔らかいのが魅力です。
ただし、吸湿性が高いゆえにシワ・縮み・型崩れが起こりやすく、扱い方がポイントになります。
そこでこの記事では、テンセル素材で起きやすいトラブルと原因、そして失敗しないためのケア方法をまとめて解説します。
- テンセル(リヨセル)の特徴と、コットンとの違い
- 起こりやすいトラブル(縮み・型崩れ・毛羽立ち・テカリ)の原因
- 洗濯で失敗しやすいポイント(脱水・摩擦・乾燥)の見直し方
- 風合いを崩さない干し方・アイロン(スチーム)のコツ
- 混紡(テンセル×綿/ポリ等)で扱いが変わる理由
- 今日からできる“テンセル長持ちルール”5つ
尚、テンセルは“レーヨン系”の仲間なので、先にレーヨンの記事に目を通しておくと理解が早いです。
テンセル素材で起こりやすいトラブル一覧
| トラブル内容 | 主な原因 | 起きやすいアイテム |
|---|---|---|
| シワ・折れ線が残りやすい | 繊維が柔らかく吸湿性が高い | ブラウス・ワンピース・とろみパンツ |
| 洗濯で縮む・型崩れする | 水分で膨張しやすく摩擦に弱い | カットソー・薄手トップス |
| 生地のテカリ・白スジ | 摩擦と折れ線で光沢が変化しやすい | パンツ・スカート・シャツ |
シワ・折れ線が残りやすい理由
テンセルは「とろみ感」を出すために繊維が非常に柔らかく、
水分をよく吸収する性質があります。
そのため、
- 湿った状態でシワが付きやすい
- 折りたたむと折れ線が残りやすい
- 乾燥時にシワが固定されてしまう
こういった特徴があります。
テンセル以外にも“シワが固定されやすい素材”は多いので、全体像を先に見ておくと判断しやすいです。
また、今すぐにでもシワを整えたい方は、素材別に“最短で効くシワ取り”だけ先に確認しておくのが近道です。
シワ対策
- 洗濯後は放置せずすぐ形を整えて干す
- ハンガーにかけ、自然な落ち感を生かす
- アイロンは中温スチームが最適
- 保管時は“畳むより掛ける”が基本
ただ、掛ける収納は“ハンガー跡”が出ることもあるので、気になる人はここも一緒に対策しておくと安心です。
洗濯で縮み・型崩れが起きる理由
テンセルは水を含むと繊維が膨張し、摩擦が加わることで変形しやすくなります。
特に以下のケースは縮みやすい傾向があります。
- 通常コースで洗う
- 長時間脱水する
- 乾燥機を使う
- 他の衣類と絡みやすい状態で洗う(ネット不使用など)
テンセルに限らず、服が傷む原因の多くは“洗濯機設定”にあるので、基本を一度チェックしておくと失敗が激減します。
縮み・型崩れ対策
- 洗濯はおしゃれ着洗い+弱水流(もしくは手洗い)
- 必ずネットに入れる
- 脱水は短時間(30秒〜1分)
- 乾燥機NG
- 干す前に縦方向に軽く伸ばして形を整える
もし“元に戻りにくい型崩れ”が出ているなら、洗い方だけでなく保管・干し方側の原因も潰すのが早いです。
生地のテカリ・白スジが出る理由
テンセルは光沢が美しい反面、摩擦によって“生地の光の反射が変わりやすい”特徴があります。
そのため、
- こすれやすい太もも・ヒップ部分
- 畳みジワの折れ線
- 細かいスレ
これらが白っぽくテカったように見えることがあります。
テンセルの“白っぽいテカリ”は、パンツのヒップ〜太ももで出る症状とかなり近いので、下の記事から復活方法までまとめて確認できます。
テカリ防止のポイント
- できるだけ“畳まない”
- 座ったり擦れる部分は摩擦が起きやすいので注意
- 洗濯後は形を整え、自然乾燥で仕上げる
- スチームアイロンでふんわり戻す
NG例 → OK例で理解するテンセルケア
❌ NG例:普通の洗濯物と同じ扱いにする
- 通常コースでガシガシ洗う
- 強い脱水でシワ+縮み
- 乾燥機で一気に乾かす
- 畳んで収納
→ 結果:
- シワが取れない
- サイズダウン
- 表面がテカって劣化した印象に
⭕ OK例:テンセルの性質に合わせた扱いに変更する
- おしゃれ着洗い or 手洗い
- ネット使用+弱脱水
- 乾燥機は使わず自然乾燥
- 収納はハンガーを基本
→ 改善:
- シワが大きく軽減
- シルエットが長持ち
- ツヤ感が保たれ、高見えする
今日からできるテンセル素材の正しい扱い方
テンセルは、「濡れた状態で弱い」→だから“引っ張らない・擦らない・ねじらない”が基本です。
| チェック項目(今日から) | やること | 狙い |
|---|---|---|
| ① 洗濯は裏返し+ネット | テンセルは必ず裏返してネット(摩擦を減らす) | 毛羽立ち・白っぽさ(擦れ)を防ぐ |
| ② コースは「弱め」 | おしゃれ着/手洗い/弱水流に寄せる(詰め込みNG) | 濡れ弱り時の型崩れを防ぐ |
| ③ 脱水は短く、放置しない | 脱水30秒〜1分目安→終わったらすぐ取り出す | ねじれジワの固定を防ぐ |
| ④ 干す前に“形を整える” | 肩線・脇線・裾を揃えてから陰干し(直射日光は避ける) | 落ち感を保ち、ヨレを抑える |
| ⑤ 仕上げは低温+スチーム | 必要なら当て布+低温、基本はスチームで整える | テカリ・風合い変化を防ぐ |
上の表は「全部完璧に」ではなく、まずテンセルが傷む工程(摩擦・脱水・放置・熱)を止めるためのチェックです。
続いて、①〜⑤をもう少し具体的に解説します。
① 洗濯は裏返し+ネット
テンセルは表面が擦れると白っぽく見えたり、毛羽立ちやすくなることがあります。
裏返し+ネットは一番手軽で効果が出やすいので、まず固定ルールにするのがおすすめです。
② コースは「弱め」
濡れたテンセルは繊維が弱くなり、強い水流で引っ張られると型崩れしやすいです。
標準コースより、弱水流(おしゃれ着)に寄せるほうが安全です。
また、“おしゃれ着洗い”を自己流にすると逆に傷むので、洗剤・モード・脱水の基本だけは手順で確認しておくと安心です。
③ 脱水は短く、放置しない
脱水のねじれジワが深く入り、そのまま放置すると乾く過程で固定されます。
短め脱水→すぐ取り出して干す、だけでも仕上がりが変わります。
④ 干す前に“形を整える”
テンセルの魅力は落ち感なので、干す前に形を整えるひと手間が重要です。
肩線・脇線・裾を軽く揃えて陰干しすると、ヨレや変なシワが残りにくくなります。
⑤ 仕上げは低温+スチーム
高温で押さえるとテカリや風合い変化が出やすい素材です。基本はスチームでゆるめて整える。
アイロンを当てる場合も、低温+当て布を前提にすると失敗が減ります。
迷ったら、まずは③(脱水短縮+放置しない)→①(裏返しネット)から入れると効果が出やすいです。
まとめ:テンセルは“正しく扱えば最高に上品な素材”
テンセル(リヨセル)は、なめらかな肌触りと上品な落ち感が魅力の一方で、濡れた状態で弱く、摩擦・ねじれ・熱で風合いが崩れやすい素材です。
ただし、扱い方を少し変えるだけで、自宅洗濯でも十分長持ちします。
今日からは次の順番でOK。
- 裏返し+ネット、コースは弱めにする(摩擦と引っ張りを減らす)
- 脱水は短く、洗濯後は放置しない(ねじれジワ固定を防ぐ)
- 干す前に形を整えて陰干し(落ち感を保つ)
- 仕上げはスチーム中心、アイロンは低温+当て布(熱ダメージ回避)
よくある失敗は「標準コースでガシガシ」「脱水長め+放置」「高温アイロンで押さえる」の3つ。
まずは次の洗濯から、脱水短縮+放置しないだけでも試してみてください。
テンセル特有の“とろみ感”が戻りやすくなります。











コメント