
この記事は、アパレル歴20年の店長経験者が詳しく解説しています。【筆者プロフィール】
秋冬の帽子やバッグ、小物などでよく使われる「フェルト素材」。
厚みのあるやわらかな見た目が特徴ですが、実際に手入れしようとすると分からないことも多い素材です。
「フェルトってウールのこと?」
「ポリエステルのフェルトとは何が違う?」
「家で洗っても縮んだり型崩れしたりしない?」
このように感じたことがある方もいるでしょう。
特に迷いやすいのが、フェルトという名前だけでは原料や洗濯方法を判断できないことで、ウールを使ったものもあれば、ポリエステルを使ったものもあり、それぞれ注意したいポイントが異なります。

様々な服や小物を扱っていた僕の経験から見ても、フェルト製品は見た目だけで素材や扱い方を判断しにくいアイテムのひとつでした。
そこで本記事では、フェルト素材の基本からウール系・ポリエステル系の違い、洗えるかの見分け方、縮み・毛羽立ち・型崩れが起こる理由まで詳しく解説していきます。
- フェルト素材とはどんな素材なのか
- フェルトには何の繊維が使われているのか
- ウール系とポリエステル系の違い
- メルトンやフリースとの違い
- フェルトが洗えるか確認する方法
- 縮み・毛羽立ち・型崩れが起こる理由
- フェルトを扱うときの注意点
フェルト素材とは?織物とは違う「繊維を絡めた素材」

フェルトは、一般的なシャツやデニムのように糸を織ったり、ニットのように編んだりして作る生地とは構造が異なります。
まずは「フェルトとは何なのか」を3つのポイントから整理していきましょう。
| 番号 | 確認ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| ① | フェルトの作り方 | 繊維同士を絡ませてシート状にする |
| ② | 使われる原料 | ウール・ポリエステルなどさまざま |
| ③ | 似た素材との違い | メルトン・フリースなどとは構造が異なる |
① フェルトは「原料名」ではなく素材の作られ方を表す
「フェルト=ウール」と思われることがありますが、フェルトは特定の繊維だけを指す名称ではありません。
繊維を絡ませたり圧縮したりしてシート状にした素材をフェルトと呼ぶため、原料によって性質は大きく変わります。
一般的な織物との違い
| 比較項目 | フェルト | 一般的な織物 |
|---|---|---|
| 基本構造 | 繊維を絡ませる | 経糸と緯糸を交差させる |
| 糸 | 糸にしてから織るとは限らない | 糸を使う |
| 裁断部分 | ほつれにくいものが多い | 端がほつれるものがある |
| 厚み | 比較的厚みを出しやすい | 織り方によって幅広い |
| 主な用途 | 帽子・バッグ・小物・手芸など | シャツ・パンツ・コートなど幅広い |
フェルトの大きな特徴は、糸の交差ではなく、繊維そのものが絡み合って形を作っていることです。
そのため、切った端がほつれにくいものが多く、手芸材料や立体的な小物にもよく使われます。
② フェルトには何が使われている?
フェルトの原料として代表的なのが、「ウール」と「ポリエステル」です。
ただし、商品によって混紡やそのほかの繊維が使われることもあるため、購入時には品質表示や商品説明を確認しましょう。
| 原料 | 主な特徴 | よく見られる用途 |
|---|---|---|
| ウール | 自然な風合い、吸湿性がある | 帽子・衣類・小物 |
| ポリエステル | 比較的均一で扱いやすい | 手芸・バッグ・雑貨 |
| ウール混 | 風合いと扱いやすさを調整しやすい | 衣類・帽子・小物 |
| その他の化学繊維 | 用途に応じた機能を持たせやすい | 雑貨・産業資材など |
市販の手芸用フェルトには、ポリエステル100%で「ウォッシャブル」と表示された商品もあります。
一方、ウールを使ったフェルトでは、水分や摩擦によって繊維同士の絡みが強くなり、縮みや硬化につながることがあります。

アパレルの店頭でも、「フェルトなら全部ウールだと思っていた」という方は珍しくありませんでした。
見た目だけでは判別しにくいため、僕はフェルト製品を見るときほど、最初に素材表示を確認するようにしています。
ウールそのものの特徴や、縮み・毛玉が起こる仕組みまで詳しく知りたい方は、こちらもあわせて確認してみてください。
③ フェルト・メルトン・フリースは何が違う?
秋冬素材には、フェルトと見た目が似ているものがいくつかあります。
特に混同されやすいのが「メルトン」と「フリース」です。
| 素材 | 基本的な構造 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| フェルト | 繊維を絡ませてシート状にする | 厚み・立体感が出やすい |
| メルトン | 織物を縮絨し、表面を整える | 密度が高くコートに多い |
| フリース | 主に編地を起毛させる | 軽く、やわらかい |
| ニードルフェルト | 針で繊維を絡ませる | 化学繊維製も多い |
メルトンは表面が詰まっているためフェルトのように見えますが、基本となる生地構造が異なります。
また、ポリエステルなどの繊維を特殊な針で絡ませて作る「ニードルフェルト」もあり、フェルトには複数の作り方があります。
特にフェルトと見た目が似やすいメルトンについては、作り方や特徴の違いをこちらの記事で詳しく解説しています。
ウールフェルトとポリエステルフェルトは何が違う?

フェルトを扱うときに最も重要なのが、何の繊維から作られているかです。
「フェルト」という名称だけで洗濯方法や耐久性を判断せず、原料ごとの違いを確認しておきましょう。
| 番号 | 比較ポイント | ウール系 | ポリエステル系 |
|---|---|---|---|
| ① | 風合い | 自然でやわらかい | 比較的均一 |
| ② | 水・摩擦 | フェルト化による縮みに注意 | 商品によって洗えるものもある |
| ③ | 選び方 | 風合い重視に向く | 扱いやすさ重視に向く |
① 風合いや見た目に違いがある
ウールフェルトは、天然繊維ならではの風合いややわらかな表情が魅力です。
帽子やファッション小物では、ウールを主体としたフェルトが使われることがあります。
一方、ポリエステルフェルトは色や厚みを比較的均一に作りやすく、手芸材料や雑貨などでも広く使われています。
選ぶときの考え方
| 選ぶときの基準 | おすすめの考え方 |
|---|---|
| 自然な風合いを重視したい | ウール系を確認する |
| 手芸や工作に使いたい | ポリエステル系も選択肢に入れる |
| 水濡れが気になる | 洗濯可否やウォッシャブル表示を確認する |
| 帽子やバッグを選ぶ | 本体だけでなく芯材・接着剤なども確認する |
同じ「フェルトバッグ」であっても、原料や内部構造まで同じとは限りません。
ポリエステル自体の特徴や、毛玉・静電気などの弱点も知っておくと、フェルト選びの違いがさらに分かりやすくなります。
② ウール系は「フェルト化による縮み」に注意
羊毛の表面には、「スケール」と呼ばれるうろこ状の構造があります。
水分を含んだ状態で揉みや摩擦が加わると繊維同士が絡みやすくなり、収縮や硬化につながることがあります。
| 状態 | 起こりやすい変化 |
|---|---|
| 水分を含む | 繊維が動きやすくなる |
| 揉む・こする | 繊維同士の絡みが強くなる |
| 強く洗う | サイズや風合いが変わることがある |
| 縮みが進む | 厚く硬く感じることがある |
ここで間違えやすいのが、「フェルトは全部水に弱い」と考えてしまうことです。
ウール系では特に注意が必要ですが、ポリエステル100%のウォッシャブルフェルトなど、洗えることを前提に作られた商品もあります。
③ 「天然素材か化学繊維か」だけで優劣は決まらない
ウールフェルトとポリエステルフェルトには、それぞれ向いている用途があります。
どちらが優れているかではなく、使い方に合っているかで選ぶことが重要です。
| 重視すること | 選択肢の考え方 |
|---|---|
| 天然素材らしい風合い | ウール系を確認 |
| 手入れのしやすさ | ウォッシャブル仕様を確認 |
| バッグ・小物の形 | 厚みや硬さも確認 |
| 頻繁に洗いたい | 洗濯可能と明記された商品を選ぶ |

洋服や小物を選ぶ際、「天然素材だから長持ちする」「化学繊維だから扱いやすい」と単純に判断すると失敗することがあります。
フェルトも同じで、素材名だけでなく「何に使うか」まで考えたほうが、購入後の扱いやすさにつながります。
フェルトは洗える?素材表示と洗濯表示から判断しよう

「フェルトは洗濯できない」と一括りにするのは正確ではありません。
家庭で洗えるかどうかは、フェルトという名称ではなく、製品に付いている表示やメーカーの案内を基準に判断するのが基本です。
| 番号 | 確認する順番 | 見るところ |
|---|---|---|
| ① | 原料を確認 | ウール・ポリエステルなど |
| ② | 洗濯表示を確認 | 家庭洗濯の可否 |
| ③ | 製品構造を確認 | 芯材・接着剤・装飾など |
① まず品質表示で原料を確認する
最初に見たいのが、衣類や製品に付いている「品質表示」です。
「毛100%」「ポリエステル100%」「毛○%・ポリエステル○%」など、フェルト部分に何が使われているかを確認します。
原料を見る理由
- ウールならフェルト化による縮みに注意できる
- ポリエステルでも必ず洗えるとは限らない
- 混紡なら一方の繊維だけで判断できない
- 商品ごとに適した扱い方が変わる
特に「ポリエステルだから洗濯機で洗って大丈夫」と決めつけるのは避けましょう。
生地本体が水に強くても、製品に使われている接着剤や芯材、装飾部分が水洗いに対応していない場合があります。
洗濯前には素材だけでなく、付属品や乾燥方法などもまとめて確認しておくと失敗を防ぎやすくなります。
② 洗濯表示を確認する
衣類などに洗濯表示が付いている場合は、その表示を優先します。
フェルトの素材特性を知っていても、表示で家庭洗濯不可となっている製品を自己判断で洗うのはおすすめできません。
| 表示・案内 | 基本的な判断 |
|---|---|
| 洗濯機で洗濯可能 | 指定されたコース・温度を守る |
| 手洗い可能 | 弱い力で短時間に洗う |
| 家庭洗濯不可 | 家庭での水洗いを避ける |
| 商品独自の注意書きあり | メーカー指定を優先 |
手芸用フェルトのように衣類用の洗濯表示が付いていない場合は、商品パッケージやメーカーの商品説明を確認してください。
実際にポリエステル100%のウォッシャブルフェルトでも、「弱水流」「手洗い」など商品によって推奨方法が異なります。
洗濯マークの意味が分からない場合は、洗い方・乾燥・アイロンまで一覧で確認できるこちらの記事も参考にしてください。
③ 帽子・バッグはフェルト部分だけで判断しない
衣類よりも注意したいのが、フェルト製の帽子やバッグです。
これらは本体のフェルト以外にも、芯材・裏地・接着剤・金具など複数の素材が組み合わされていることがあります。
洗う前に確認したい部分
- 裏地
- 芯材
- 接着部分
- 金属パーツ
- 装飾
- 革や合皮との切り替え
フェルト部分だけなら水に対応できても、他のパーツが原因で型崩れや剥がれが起こる可能性があります。

店頭でも、バッグや帽子について「素材がポリエステルだから洗えますか?」と聞かれることがありました。
こうした製品では表地だけを見るのではなく、僕は必ず洗濯表示や商品全体の構造まで確認するようにしていました。
フェルト特有の「縮み・毛羽立ち・型崩れ」はなぜ起こる?

フェルトで起こるトラブルは、すべての製品に同じように発生するわけではありません。
ここでは一般的な衣類のケア方法を繰り返すのではなく、フェルトという構造だから起こりやすい変化に絞って見ていきます。
| 番号 | 主な変化 | 特に関係する要因 |
|---|---|---|
| ① | 縮む・硬くなる | ウール、水分、摩擦 |
| ② | 毛羽立つ・表面が変化する | 摩擦、使用頻度 |
| ③ | 型崩れする | 圧迫、湿気、製品形状 |
① ウールフェルトが縮んで硬くなる理由
ウールを使ったフェルトでは、水分と摩擦が加わることで繊維同士の絡みがさらに強くなることがあります。
その結果、もとの状態より目が詰まり、サイズが小さくなったり、手触りが硬く感じられたりします。
起こりやすい変化
| 変化 | 状態 |
|---|---|
| 縮み | 全体の寸法が小さくなる |
| 硬化 | 繊維の密度が高く感じる |
| 厚みの変化 | 詰まったような質感になる |
| 変形 | 部分的に縮んで形が崩れる |
尚、これはウール系のフェルトで特に意識したい特徴です。
ポリエステルフェルトまで同じ仕組みで縮むと考える必要はありません。
フェルト以外も含めて、衣類が水・摩擦・熱で縮む仕組みや洗濯時の注意点を知りたい方はこちらも参考になります。
② 毛羽立ち・毛玉・白っぽい見え方が出る理由
フェルトの表面には細かな繊維が集まっているため、繰り返し摩擦を受ける部分は見た目が変わりやすくなります。
バッグの角や持ち手付近、衣類と接触する面などは、特に擦れやすい場所です。
| 見た目の変化 | 主な状態 |
|---|---|
| 毛羽立ち | 表面の繊維が起きる |
| 毛玉 | 浮いた繊維同士が絡まる |
| テカリ | 表面が押されて質感が変わる |
| 白っぽく見える | 毛羽や繊維の向きが変わる |
こうした変化を見て「汚れた」と思うことがありますが、実際には汚れではなく、表面の繊維状態が変わっているケースもあります。
強くこすって落とそうとすると、かえって毛羽立ちを増やすことがあるため注意が必要です。
すでに毛玉ができている場合や、摩擦による毛玉を予防したい場合は、原因と対策をまとめたこちらの記事もあわせてご覧ください。
③ 帽子やバッグは圧迫による型崩れにも注意
フェルトは厚みや立体感を出しやすいため、帽子やバッグにも使われます。
一方で、立体的な製品は収納時の圧迫や折れによって形にクセが付きやすい点にも注意が必要です。
特に注意したい保管例
- 帽子の上に荷物を載せる
- バッグを押し込んで収納する
- 折り曲げた状態で長期間置く
- 湿ったまま形を整えず保管する
形を保つことが重要なアイテムは、衣類と同じように畳んで収納するのが適しているとは限りません。
帽子ならつばやクラウン、バッグなら底や側面がつぶれない状態を意識して保管しましょう。

フェルト系の帽子やバッグは、着用中のダメージより「久しぶりに出したら形が変わっていた」というケースのほうが厄介に感じることがあります。
僕自身、アパレルの仕事をしていた頃から、立体的なアイテムほど素材だけでなく「どう収納するか」まで考えることが大切だと感じています。
圧迫だけでなく、洗濯・干し方・収納による型崩れまでまとめて確認したい方はこちらも参考になります。
まとめ:フェルトは「原料」と「表示」を確認して扱おう

フェルトは、ウールだけで作られている素材ではありません。
ポリエステルなどの化学繊維を使ったものもあり、原料・製法・製品構造によって特徴や適した扱い方が変わります。
| 確認ポイント | 覚えておきたいこと |
|---|---|
| フェルトとは? | 繊維を絡ませてシート状にした素材 |
| 原料 | ウール・ポリエステルなどさまざま |
| ウール系 | 水分と摩擦によるフェルト化に注意 |
| ポリエステル系 | ウォッシャブル製品もある |
| 洗濯 | 洗濯表示・メーカー案内を優先 |
| 毛羽立ち | 摩擦による表面変化に注意 |
| 帽子・バッグ | 圧迫による型崩れにも注意 |
フェルト製品を長く使うために最も大切なのは、「フェルトだからこうする」と決めつけないことです。
まず原料を確認し、そのうえで洗濯表示や商品ごとの注意事項を確認すれば、自分が持っているフェルト製品に合った扱い方を判断しやすくなります。
フェルト以外の素材についても、縮み・毛玉・色落ちなどのトラブルを素材別に確認したい方は、こちらの一覧も活用してみてください。











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