
この記事は、アパレル歴20年の店長経験者が詳しく解説しています。【筆者プロフィール】
「リネンってシワが目立つ…」
「チクチクするときがあるのはなぜ?」
「夏に涼しいのは分かるけど、扱いが難しそう…」
リネン(麻)は“天然素材の中でも最も通気性に優れた素材”ですが、シワ・硬さ・縮みなど、誤解されやすい一面もあります。
アパレル店長時代も、「リネンは好きだけど扱いが分からない」という声は非常に多く、特徴を知らずに使うことでトラブルに繋がるケースが多く見られました。
そこでこの記事では、リネン素材で起きやすい3つのトラブルと原因、そして長く快適に使うための正しい扱い方をまとめて解説します。
- リネンで起こりやすいトラブル(シワ・チクチク・縮み/型崩れ)の全体像
- リネンがシワになりやすい理由と、日常で効くシワ対策
- チクチクしやすいリネンの特徴と、選び方・着方のコツ
- 洗濯で縮みやすいパターンと、縮みを最小限にする手順
- NG例→OK例で分かる「やりがち失敗」の直し方
- 今日からできる“長持ちルール”(洗い方・干し方・収納の優先順位)
尚、リネンは“夏の涼しさ”で選ばれやすい素材なので、他の涼しい素材も比較したい方はこちらもどうぞ。
リネン素材で起こりやすいトラブル一覧
| トラブル内容 | 主な原因 | 起きやすいアイテム |
|---|---|---|
| シワがつきやすい | 繊維が硬く伸縮性が低い | シャツ・ブラウス・ワンピース |
| 肌ざわりがチクチクする | 糸が太く、表面がやや粗い | 初期のリネン製品・厚手の麻 |
| 縮み・型崩れが起きやすい | 天然繊維で吸湿性が高く、水の影響を受けやすい | 洗濯後のカットソー・パンツ・ニット |
シワがつきやすい理由
リネンのシワは「欠点」ではなく、素材構造による特徴です。
なぜリネンはシワになりやすいのか?
- 繊維が太く、伸びにくい(伸縮性が低い)
- 張りのある構造で折れ跡がつきやすい
- 吸湿性が高く、湿度変化でシワが固定されやすい
ただし、シワ=味わいと捉えることが多く、リネン特有の“こなれ感”として好まれるスタイルでもあります。
リネン以外にも“シワが出やすい素材”はあるので、素材別にサクッと確認しておくと失敗が減ります。
シワ対策のポイント
- 乾燥機はNG(シワが強く残る)
- 洗濯後は軽くたたいて繊維を整え、形を整えて干す
- アイロンは高温スチームが最も効果的
- どうしても気になる人は「リネン×レーヨン」「リネン×コットン」など混紡を選ぶ
アイロンが面倒な人でも、素材に合わせれば“短時間で整える方法”があります。
肌ざわりがチクチクする理由
リネンのチクチクは“品質が悪いから”ではありません。
なぜリネンがチクチクするのか?
- 糸が太く、天然繊維の中でも「表面がやや硬い」
- 使い始めは繊維がまだ馴染んでおらず、ゴワつきがある
- 厚手のリネンは特にハリが強く、肌に刺激を感じやすい
ただし、
着用・洗濯を重ねるほど、繊維がほぐれて柔らかくなるのもリネンの最大の魅力。
尚、チクチクが“素材”なのか“洗剤残り”なのかで対策が変わるので、切り分けから確認したい方はこちら。
チクチク対策のポイント
- 直接肌に触れる部分は“薄手の柔らかいリネン”を選ぶ
- 数回の洗濯で柔らかくなるため、新品時のゴワつきは気にしすぎない
- 肌が弱い人は「フレンチリネン」「ウォッシュドリネン」など加工済みを選ぶ
- インナーを一枚入れて摩擦を軽減する
リネンのザラつきは、実は“洗剤残り・すすぎ不足”で悪化するケースも多いので、下の記事も参考にしてみてください。
縮み・型崩れが起きやすい理由
リネンは天然素材の中でも特に水の影響を受けやすい繊維です。
なぜ縮むのか?
- 吸湿・吸水性が非常に高い
- 水を含むと繊維が収縮しやすい
- 摩擦ですぐに型が変わりやすい
特に、
- リネン100%のカットソー
- 薄手のリネンパンツ
- 初回洗濯後の縮み
これらは相談が多い部分です。
縮みは“水・熱・摩擦”の組み合わせで起きるので、リネン以外にも応用できる基本だけ押さえると失敗しません。
縮み・型崩れ対策
- 洗濯表示に「手洗い推奨」がある場合は従う
- おしゃれ着洗い+弱水流で摩擦を最小限に
- 絞らず“押し洗い”が理想
- 干す前に軽く引っ張って形を整える
- 完全乾燥前にスチームを当てると形が戻りやすい
表示を見てもピンと来ない方は、マークの意味だけ先に確認しておくと安心です。
NG例 → OK例で理解するリネンの扱い方
❌ NG例:とりあえずコットンと同じ扱いで洗う
- 通常コースでガシガシ洗う
- 強い脱水でシワが固定
- そのまま天日干しでパリパリに
- 結果 → シワ強め&思ったより縮む
⭕ OK例:リネンの特徴を踏まえた扱いに変える
- おしゃれ着洗い+弱水流 or 手洗い
- 脱水は短時間にする
- 干す前に“軽くパンッと叩いて”繊維を整える
- 乾燥後はスチームでふっくら戻る
→ 縮みが大幅に減り、シワも整いやすくなる。
リネン本来の落ち感とナチュラルな風合いが長持ちします。
今日からできるリネン素材の正しい扱い方
リネンは「シワをゼロにする」よりも、シワが“整いやすい状態”を作るのがコツです。
| 今日からのチェック | やること | 狙い |
|---|---|---|
| ① 買う前に“質感”と加工を確認 | ウォッシュ加工・やわらかめ・混紡(コットン/レーヨン)も検討 | ゴワつき・チクチク・強いシワを避ける |
| ② 洗濯は弱め+ネットが基本 | おしゃれ着洗い/弱水流+洗濯ネット(表示が手洗いなら従う) | 摩擦を減らして縮み・型崩れを抑える |
| ③ 脱水は短く、放置しない | 脱水30秒〜1分目安→終わったらすぐ取り出す | シワ固定と縮みの加速を防ぐ |
| ④ 干す前に“形とシワ”を整える | 軽くパンッと整え、肩・裾・前立てを揃えて陰干し | 乾く過程でシワを深くしない |
| ⑤ 仕上げはスチームで“戻す” | 乾ききる前〜乾いた後にスチームを当てて整える | 風合いをふっくらさせ、見た目を整える |
上の表は「全部完璧に」ではなく、まず縮みとシワが固定される工程(脱水〜放置〜干し方)を止めるためのチェックです。
続いて①〜⑤を、もう少し具体的に解説します。
① 買う前に“質感”と加工を確認
新品のリネンはハリが強いものも多く、肌が敏感だとチクチクを感じやすいです。店頭や通販の説明で「ウォッシュ加工」「柔らかめ」「フレンチリネン」などがあれば、最初のストレスが出にくくなります。シワが気になる人は混紡も現実的な選択です。
② 洗濯は弱め+ネットが基本
リネンは吸水性が高く、水を含むと重くなって摩擦ダメージが出やすい素材。
標準コースでガシガシ回すと、シワ・縮み・型崩れが一気に出やすくなるので、弱水流+ネットに寄せるのが安全です。
“弱めにしたつもりでも傷む”場合、洗濯機側の設定(脱水・水流)が原因のことが多いです。
③ 脱水は短く、放置しない
リネンの“強いシワ”は、脱水のねじれと洗濯後の放置で固定されがちです。脱水を短くして、終わったらすぐ干す。この2点だけでもシワの残り方が変わります。
④ 干す前に“形とシワ”を整える
干す前に一度「形を作る」ことが大切です。
肩線、脇線、裾、前立て(ボタン部分)を軽く引き揃え、パンッと整えてから干すと、乾いた後のシワが“浅く”なります。
また、陰干しは“色あせ予防”にも直結するので、濃色リネンを長持ちさせたい人はここも一緒にどうぞ。
⑤ 仕上げはスチームで“戻す”
リネンはスチームとの相性が良く、ふっくら戻りやすい素材です。完全に乾いてからでもOKですが、少し湿りが残る段階で当てると整いやすいことが多いです。
最後に、まず優先すべきは③(脱水短縮+放置しない)→④(干す前に整える)。ここだけでも体感が出やすいです。
まとめ:リネンは正しく扱えば一生ものの素材になる
リネンは、通気性が高く涼しい・丈夫で長持ち・使い込むほど柔らかく育つ、という大きな魅力がある一方で、シワ・チクチク感・縮みが出やすい素材でもあります。
ただしこれらは“欠点”というより、素材の性質として起こりやすいだけで、扱い方を少し変えるだけで、見た目も着心地も安定します。
今日からの実践はシンプル。
- 洗濯は弱め+ネット(表示が手洗いなら従う)
- 脱水は短く、終わったら放置しない
- 干す前に形を整えて陰干し
- 仕上げはスチームで整える
よくある失敗は「コットンと同じ扱いで標準コース」「脱水長め+洗濯後に放置」「天日干しでパリパリにする」の3つ。
ここを避けるだけでも、リネンの“こなれ感”はむしろ味方になります。
ぜひ今日から、リネンとの付き合い方を少しだけ整えてみてください。












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